【更新】第5回 技術士二次試験 論文の書き方を学ぼう
更新日:2020年4月4日
第5回は、過去問を取り上げて、どうやって回答の論文を書くかについて書きます。
第2回で勉強方法を書きましたが、その中の論文について具体的な書き方を説明したいと思います。
その前に二次試験の勉強方法を確認していただければ幸いです。ワードの整理の仕方から論文までの勉強方法を書いています。
選択問題の答え方
自分が合格した平成28年度と現在では形式が異なります。自分の時は、択一式の必須、専門科目、応用科目、課題の4科目でしたが、現在は選択科目です。選択科目に専門と応用科目が入っています。
自分が受験した原子力・放射線部門の専門科目を例に説明します。
【問題】
我が国の通常の生活環境における被ばくは、自然起源の放射線と人工起源の放射線による、内部被ばく、外部被ばくがある。このうち、自然起源の放射線による外部被ばくについて、下記の内容について記述せよ。
- 放射線の発生過程、又は発生源の核種
- 各々の線質
- 被ばく線量の地域差とその要因
【回答の書き方】
最初に問われていることを確認します。この問題は3点です。次に回答方式を確認します。記述せよ。とあります。
紛らわしいですが、「述べよ」と同じかと思います。説明せよなら、問われていることをずらずら書いても良いですが、記述せよなら論述して書いた方が無難です。
論述的に書くので、以下の書き方です。
原稿用紙が1枚600文字ですので、1.と2.は数行で、3.に重点を置いて書きます。 求められていることを論述的にボリュームをかけて書くと評価が高いようです。
【回答例】
1.自然起源の放射線と人工起源の放射線による内部被ばくと外部被ばくについて
自然起源の放射線は、内部被ばくがラドン等の吸入および食物の摂取により、外部被ばくが宇宙線および大地からによるものである。人工起源の放射線は、内部被ばくが核実験等により、外部被ばくが医療放射線による。
2.放射線の発生過程、又は発生源の核種について
大地からの放射線の発生源の核種は、K-40である。大地に含まれるカリウムに含まれるためである。大地の地質には、花崗岩が存在する。花崗岩には、カリウムが含まれる。カリウムには0.0117%の天然存在比でK-40が存在する。このため、大地からの放射線の発生源はK-40である。
3.各々の線質について
K-40の線質は、ガンマ線である。ガンマ線のエネルギーは、約1.3Mevである。ベータ壊変により、Ca-40で安定する。
4.被ばく線量の地域差とその要因
K-40の被ばく線量は、国内の全国平均で年間あたり約0.33ミリシーベルトである。地域差は、年間あたり0.3ミリシーベルト以下から0.4ミリシーベルトを超える地域まで存在する。要因は、地質中の花崗岩の量によるものである。K-40を含むカリウムは、花崗岩に存在する。花崗岩の量が多い地域はK-40の線量が増加するため、被ばく線量が大きくなる。花崗岩の少ない地域は被ばく線量が小さくなる。このため、地域差が生じる。
【解説】
これで、約600文字、原稿用紙1枚の分量です。
問われていることを順番に番号をつけて題目とします。番号をつけると論文らしくなること、採点者が視点しやすくなります。
3.の分量が少ないですが、核種が1種類のため、文字量は少なくなります。問われていることを書いているため問題ありません。
- 各設問の最初の行に結論を書き、次に理由を書いています。
- 理由だけでは試験官は理解できませんので、説明を書きます。
- 説明を書き、最後に「このため」で結論に導きます。この書き方なら論理的な書き方と試験官から理解が得られます。
【留意事項】
以下は、留意事項です。書いたこと以外にも細かいことがありますが、試験では全ての留意事項を守ることはできませんので、重要なことを書きました。
- 数字を書くと説得力が増します。上記は正確な数字を書きましたが、オーダーでも良いです。キーワードを整理する際は、数字も整理しましょう。
- 設問に文字数を多く割り当てるようにしましょう。前提の文字量が多くなると設問の回答の説得力がなくなります。
- タイトルは書いた方がいいです。タイトルがあると論文らしくなります。
- 回答を書く前に構成と文案を考えましょう。試験開始後10分程度で文案を考えると論理的な文書を書きやすくなります。 手書きなので、あとからの書き直しがやりずらいので、最初に構成を考えておく必要があります。
- 原稿を真っ黒にするのはやめましょう。逆効果になります。文字数が限られていますので、詰めてかきたくなりますが、読み辛くなり、試験管から読んでもらえなくなります。結論+理由を書いたら、改行して、説明を書いた方が良いです。そうすると読みやすくなります。
- 説明は疑問点がなくなるまで書きます。疑問点は「なぜ?」を繰り返し、「なぜ」がなくなると疑問点がなくなります。最後に「このため、」で結論を繰り返すと説得力が上がります。
試験は時間が限られていますが、現在は原稿用紙が3枚ですので、2時間の試験時間で事前に考える時間があります。
以前は、2時間で4枚の科目があり、5分くらいしか考える時間がなくまいったことがありました。いきなり書かないと4枚も書けないです。
経験上ですが、多少時間がかかっても最初に何を書くか論文構成をしっかり考えた方が矛盾点がなくなり、試験中に慌てることはないと思います。
しっかり考えるとは結論と理由がペアになっていること、説明が納得できることです。
最後に
受験申込書の書き方は過去記事を参考にしていただければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。