マンドリンを弾く技術士

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第9回 技術士受験 新受験制度で難易度は上がったのか?

 技術士受験は、2019年から受験制度が変わりました。

 数年単位で受験制度が変わりますが、一部の受験部門は科目が統合されています。統合された結果、難易度は変化したのか?受験生に影響はあったのか、この辺のところを考えてみました。

 

 

1.受験者数と合格者

 私が受験した原子力放射線部門の2019年度の受験者数、合格者数は以下のとおりでした。

 日本技術士会から統計情報が出ています。左から受験の申し込み者数、実際の受験者数、合格者数です。合格者数は口頭試験を含みます。

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 2018年度の受験者数、合格者数は以下のとおりです。2018年度は旧制度による受験で5科目あります。同じく左から受験の申し込み者数、実際の受験者数、合格者数です。

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 新受験制度により、2018年度の01と02、04と05の科目が統合されました。

 合格率を見ると「放射線防護及び利用」が落ち込んでいることがひと目でわかります。受験者数の違いはありますが、合格率から「原子炉システム・施設」「核燃料サイクル及び放射線廃棄物の処理・処分」は旧制度から大きな影響はなかったように見受けられます。

 

2.なぜ、放射線防護及び利用は合格者数が減少したのか?

 自分が受験して合格したのは「放射線防護」でした。6回目の受験で合格しましたので、難易度は易しくないことは理解できますが、それにしても合格者1名、合格率3.4%は少なすぎるのが感想です。

 2018年度が放射線防護と放射線利用を合わせて30名の受験者、2019年度が29名の受験者ですので、数字の上では変化はないです。しかし、合格者数が9名から1名と減少しました。

(1)勉強範囲が広くなった

 最初に思いついた合格者数が減少した原因は、受験者数と問題のレベルが合っていないのではと思いました。

 2018年度は放射線利用は、4名受験で1名合格です。放射線防護は26名受験で8名合格ですした。

 専門科目は4問、応用問題は2問です。放射線防護と放射線利用は平等な問題数でした。

 2018年度以前は、課題解決能力の問題があるとはいえ、問題は全て放射線防護または放射線利用になります。

 問題の選択範囲が狭くなり、論文を書けない問題があったため、不合格者数が増加したのかと考えました。難易度が上がったというより、受験者の勉強範囲が広くなり、論文を書けなかったんじゃないかと思います。

(2)受験者の質が下がった

 受験者の質が2018年度以前よりも下がったことが原因じゃないかと考えました。

 原子力放射線部門の合格者は、以前は高い合格率がありました。原子炉主任技術者や核燃料取扱主任者といった難易度が高い国家資格の所有者が受験したためです。原子炉主任技術者の資格所有者は、大学院卒も多いため、論文を書くことに慣れています。このため、合格率が高かったです。

 最近は、原子炉主任技術者といった資格を所有していない受験者も増えていること、放射線防護や放射線利用の分野は、そもそも所有していない方が当たり前なので、受験者の質が下がったというのは、的外れかもしれません。

(3)必須科目に対応できていない

  2019年度は必須科目が復活しましたが、この問題に答えれなかったのではないかと考えました。

 2018年度までは選択問題だったため、答えやすかったですが、2019年度は論文形式に変わりました。選択問題以前は論文形式でしたので復活したわけです。

  どんな問題がでるのかわからないこと、放射線防護や放射線利用の受験者は専門家が多いはずですので、必須科目の問題は苦手かもしれません。勉強しているはずですが、勉強範囲と外れていることは考えられます。

 今回、必須科目を初めて受験する方が大半だと思いますので、どこから情報を仕入れていいかわからずに勉強に苦労した受験者は多かったと考えます。

 

 他にも原因はあるかと思いますが、 受験者の勉強範囲と必須科目と選択科目の出題範囲がずれていたことが主要な理由かなと考えました。

 

3.どうやって勉強するか?

 どうやって勉強するかですが、勉強の仕方(キーワード集め、過去問、論文書き)は変わらないです。

 情報の仕入れ方が重要になってきます。

 回答できる範囲を広げるには、放射線防護の方なら放射線利用の過去問も勉強すること、放射線利用の方なら放射線防護の過去問を勉強することをお勧めします。専門知識の原稿用紙1枚の問題なら対応できます。

 原稿用紙2枚の応用問題と必須科目をどう対応するかです。今後も問題の作り方が変わらないことが前提ですが、応用問題は最近の話題のテーマを深く掘り下げてみることをお勧めします。原子力部門は、原子力規制庁と切ってもきれないので、原子力規制庁のホームページからテーマを探します。学会誌を読んでテーマを探してみることも良いです。テーマを過去問に貼り付けてみて仮想問題を作れば深く掘り下げた勉強ができます。

 選択科目Ⅲの原稿用紙3枚の問題は、2018年度以前の課題解決型の問題かと思います。課題を抽出して、対策を書く回答です。この形式なら、過去問で十分に対応できます。取り上げられているテーマは最新ではなく、近い問題は以前からあること、テーマも既に出題されているので、過去問で対応できます。3枚と多いので、時間内に書けるように論文を書いていけば対応できます。

 やっかいなのは、必須科目です。

 テーマを探します。取り上げられそうなテーマは、学会誌、原子力規制庁経済産業省などが挙げられます。幅広く調査することが必要になってきます。

 全ての受験者に平等なはずですので、公開されている範囲から出題される可能性が高いはずです。あらゆる問題を想定することは重要ですが、勉強時間も限られていますので、関係機関のホームページを漁ってみれば、おおよそ当たってくると思います。

 勉強の仕方は、選択科目と変わりませんが、回答案は様々ありますので、問題形式(課題を抽出せよ等)にテーマをあてはめて勉強することをお勧めします。広い範囲ではありますが、回答も広いので、わからない問題があっても全く太刀打ちできないことはないはずです。そう考えて、テーマを広く探してみると対応できます。

 

 最後まで読んでいただきありがとうございます。