第20回 【マンドリンレッスン 】 ポルタメントの練習 これができないと完成度が下がる独奏曲もある
第20回は、マンドリンレッスン のシリーズです。ポルタメントをテーマに取り上げます。ギターではグリッサンドとも呼ばれ、ギターでは、ポピュラーなテクニックですが、マンドリンではほぼマンドリン独奏曲しか使われていないので、知らない奏者も多いのではと思います。
ポルタメントとは?
ポルタメントとは、こんな感じです。左手をスライドさせて音を出すテクニックです。右手は使っていません。
ポルタメントは、なかなか音がならないです。聞き手側は、音が切れているように聴こえてると思います。
マンドリンでどういう経緯で広がったのかわかりませんが、おそらくギターから転用されたのかなと推測します。
ギターでは、ロックからクラシックまで幅広く使われるテクニックです。ギターもマンドリンも弦楽器ですので、マンドリンでもやってみようと発想したのかなと思ってしまいますね。
バイオリンでも使うんだろうと思っていましたが、トロンボーンや三味線でもポルタメントを使うらしいです。ギターではグリッサンドと呼ばれ普通に使われていますね。
ポルタメントとグリッサンドの使い分けがわかりませんが、エレキギターのグリッサンドはゆっくりスライドするイメージがあります。マンドリンのポルタメントは素早くスライドします(この違いを早く気がつけば、この後の練習で苦労することはなかったのですが・・・)
マンドリン独奏のポルタメントの弾き方
マンドリン独奏曲にポルタメントが出てきます。ピッキングとは明かに違う音ですので、表現の効果があります。
音符と音符とを棒線で結ばれているとポルタメントで弾きなさいの指示です。前後の音符にダウンで弾くことが師事されていることとセットで記載されていることがよくあります。ピッキングとは違いますよ と注意してくださいの意味ですね。
ダウンでピッキングしたら、ポジションを押さえている左手の指を押さえたままにし、次の音符に移動すると移動音が鳴って、ポルタメントが弾けます。
書くと簡単ですが、なかなか鳴らないのがポルタメントです。
スライドさせても音が鳴らないのは、左手の握力不足にあります。スライド中に握力が弱くなると左手がポジションから離れて音が鳴らななります。
ゆっくりとスライドさせても音が鳴りません。
ポルタメントを弾くには、握力を維持したまま素早くポジション移動する必要があります。練習しないと弾けないのがポルタメントです。
このことがわからずに先生のポルタメントを見てなぜ音がなるのか不思議でした。
決まればかっこいんけどなと思いながら、練習しても音がなりません。原因は左手の握力が不足していました。スライドの最中に左手がポジションから離れていたんですね。これじゃぁ 音がなりません。
左手が離れないことを意識して、繰り返し練習して、ようやくポルタメントらしくなってきました。
ポルタメントはポジションの上位から下位にスライドさせるパターンと逆に上位に上昇させるパターンがあります。頻度が高いのは下位にスライドさせるパターンです。
下位にスライドさせた方がやりやすいからかもしれません。上位にスライドさせるのは特に夏場はやりにくいです。手に汗があると汗がブレーキになりスライドができなくなります。
この対策のためにバンテリンのカバーをつけて演奏します。カバーの位置を写真よりももっと引き上げる必要がありますが、夏場でも効果があります。
演奏会場は空調がしっかりされていますが、緊張で汗をかきますので、季節に関係なく着用しています。
ポルタメントの練習
ポルタメントを弾く必要性があったのが「祈り」を弾くときでした。
【マンドリン独奏】祈り(Preghiera) 広島市東区民文化センター小ホールで弾く!!
単純にスライドさせれば良いと思っていましたが、音が全くなりませんでした。というか音をならすんじゃなくて単純にスライドさせれば良いと思っていました。
かすかに聴こえるようになりましたが、本番の演奏では使い物になるレベルじゃありませんでした。結局、本番に間に合わず、スライドした後にピッキングして擬似ポルタメントをしました。
ちょっと苦い思い出になりながら、次の曲「美しき我が子や何処」にもポルタメントがあることに気がつきました。
ポルタメントの独奏曲
頻度はなんとも言えませんが、独奏曲に多くでます。マンドリンオーケストラの曲ではみたことがありません。おそらく奏者全員のタイミングを合わすのが難しいと思います。独奏パートにポルタメントがある曲はありそうですが。
自分が今までに演奏した独奏曲の中では「祈り」のほかに「美しき我が子や何処」があります。ポルタメントの部分を抜き出したのが、上の動画です。
独奏曲全体は以下の記事で書いています。
難易度の高い独奏曲です。そのなかでポルタメントのパートは簡単な方ですが、印象に残るので丁寧に弾く必要があります。それだけ、ポルタメントが目立つからですね。
上のポルタメントのみ抜き出した動画はポルタメントが聴こえますが、聴こえるようになるまで、先生に助言をいただきながら練習しました。
ポルタメントは、スライド前の音をためてからスライドさせた方がいいです。音をためると早くスライドさせざるをえないため、ポルタメントの音がなります。十分にためてから一気にスライドさせる・・・これがポルタメントのコツです。
隣のフレットにスライドするポルタメントなら多くの独奏曲で出てきますが、離れているポジションにスライドさせる独奏曲はあまりみかけません。自分が知らないだけかもしれませんが・・・「美しき我が子や何処」はポルタメントを魅せる必要がある曲なので、ポルタメントが弾けないと曲の完成度が落ちます。
これからもポルタメントが出てくる独奏曲を弾くことがあるだろうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。