第15回 マンドリン独奏曲の練習方法 メロディと伴奏をわけて弾く
マンドリン独奏曲の多くは、伴奏を弾きながらメロディを弾きます。ギターやピアノと同じように伴奏を伴ってメロディを弾くわけですが、マンドリン奏者の多くは苦手としています。いきなりやっても弾ける奏者は少ないと思います。
ギターなら指で、ピアノなら両手ですが、マンドリンはピックです。ピッキングだけでメロディと伴奏を弾きます。ピックだけでメロディと伴奏の両方を弾くことが考えられないと思うのが普通のマンドリン奏者だと思います。
第15回目のテーマは、マンドリン独奏曲の練習方法をテーマにしました。マンドリン独奏曲にチャレンジしたい奏者の方はもちろんですが、マンドリンオーケストラの奏者も参考になるかと思います。
メロディと伴奏を別々に弾いてみる
まずは動画でどのように弾いているか確認してみます。今回も自分で弾いた動画から引用しています。
動画の解説
最初にどんな曲なのか弾いています。弾いた曲は、中野二郎作品のセレナータです。アレグレットの早いテンポの曲ですが、アレグレットよりも遅いテンポで弾いています。
メロディと伴奏が交互に音が鳴っていること、ピッキング指定のため、メロディと伴奏がわかりずらい特徴があります。
次にメロディのみ弾きます。トレモロなら弾けなくてもメロディのイメージを持てますが、ピッキングのため、どんなメロディなのか耳でしっかりと確認しておくと後々に活きてきます。
伴奏のみを弾きます。伴奏だけひくと何のことだかわかりませんが、こういうフレーズなんだなと思い、耳に残しておけば十分です。伴奏の進行を覚えていると弾けるようになったときに余裕を持って弾くことができます。
最後にメロディと伴奏を合体して弾きます。いきなり合体させても弾けるものではありませんが、ゆっくりと弾いていくことを何度も繰り返すと弾けるようになります。耳にメロディと伴奏のフレーズが耳に残っていますので、習得しやすいです。
マンドリン独奏曲は難しい
簡単ではないのは確かです。
自分も弾けるようになるまで時間がかかりました。なぜかと言うと伴奏があるからです。デュオ奏法と言われますが、メロディと伴奏を聞いて弾く行為は自分が想像しているよりも難しいです。
子供の頃にピアノを習った人が、ギターやマンドリンをすぐに弾けるようになる理由がわかりました。メロディと伴奏を聞くという複雑な行為をやっているので、単純にメロディだけを弾く行為は簡単に出来るんだろうと思います。
マンドリン独奏曲は、無伴奏で奏者自身が伴奏も弾く曲が多いです。マンドリンオーケストラしか経験ない奏者がいきなりメロディと伴奏を弾こうと思っても頭脳がついていかずどこを弾いているかわからなくなるとおもいます。
しかし、練習方法で独奏は弾けるようになります。その練習方法がメロディと伴奏をわけて弾く練習方法です。
次に練習方法について、説明します。
練習方法
急がば回れの練習方法
この練習方法の特徴は急がば回れです。
いきなり、メロディと伴奏を弾ければ、この練習をしなくてもいいですが、マンドリン独奏曲の経験が少ない奏者は有効な練習方法です。特徴は以下のとおりです。
- メロディ、伴奏が把握できる。
- リズムを正確に弾くことができる
メロディと伴奏がどんなフレーズなのか認識できることはメリットです。今、弾いたフレーズ、次に弾くフレーズがメロディなのか伴奏なのかわかると表現をつけるのが簡単になります。楽譜に記号がないフレーズでもここで盛り上げておく方がいいなとイメージすることができます。
独奏曲で陥りやすいリズムを正確に把握することができます。マンドリン独奏曲は自由に弾いていいですが、リズムは守る必要があります。リズムが乱れるとメロディも崩れるからです。デュオ奏法で弾くと拍と拍の間が伸びたりして、いつの間にかリズムが崩れます。自分もしょっちゅうあります。メトロノームで伴奏のみ繰り返し弾けば正確なリズムを覚えることができます。
メロディと伴奏を個別に弾くのは、非効率的な練習方法だと思ってしまいますが、結果的には最短でマンドリン独奏曲を習得できる練習方法です。急がば回れの練習方法は有効な方法です。
留意事項
練習時に気をつけるのは、左手のポジションです。
左手のポジションの取り方は、メロディ、伴奏およびデュオ奏法とも同じにする必要があります。左手のポジションが同じだとメロディ、伴奏を個々に練習してからデュオ奏法に移行する際にポジションを変える必要がないので、スムーズに移行できます。
メロディ、伴奏を把握するだけなら、やりやすいポジションで練習すれば良いですが、後々にデュオ奏法に移行することを考えて、メロディと伴奏がわかればポジションを合わせた方がいいです。
メロディがトレモロの場合、デュオ奏法で弾くと、メロディが切れてしまうことがります。奏者自身は、弾けてるつもりでも周囲から聴くとメロディが切れていることが明らかにわかることがあります。デュオ奏法に夢中になりすぎて、メロディを聴いていないこと、伴奏によってメロディが隠れてしまい気がつかないことが原因です。
メロディが切れないようにするためにもメロディと伴奏を個別に弾く練習は有効です。メロディのみ弾くとスラーの意識が働きますので、スラーがかかっているフレーズの動きを覚えることができます。スラーを確認してから伴奏と合わせてデュオ奏法を行うとメロディが切れることを防ぐことができます。
最後に
今回は急がば回れの練習方法について書いてみました。独奏をする奏者が少なくどうやって独奏曲を練習して良いのかわからない奏者の方に参考になればと思います。
自分もマンドリンレッスンをとおして弾けるまで時間がかかりました。この記事をとおして奏者の方のレベルアップになれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。