マンドリンを弾く技術士

マンドリン独奏曲やマンドリンの弾き方、技術士、本などのブログです。

第9回 マンドリン独奏曲「旅愁による変奏曲」の演奏したこと

第9回目は、マンドリン独奏曲の「旅愁による変奏曲」です。この曲は、発表会で演奏した曲であり、思い出のある曲です。

 

 

旅愁による変奏曲の演奏(音のみですが・・・)


旅愁による変奏曲

楽譜には「TEMA(RYOSHU)e VARIAZIONI」とあります。演奏会のパンフレットでは「旅愁」とありました。TEMAが主題の訳のため、「旅愁による主題の変奏曲」とパンフに記載されることもあります。

自分が発表会のエントリーシートに記載したときは「旅愁による変奏曲」と書きましたが、パンフにはなぜか「旅愁」でした。こだわりがないので、かまわないんですが、パンフを見た時にもうちょっと長い曲名が良いかなと思いました。

 YouTubeの背景は、島根県松江市八雲町です。私は松江市出身ですが、両親のお墓が八雲町にあることから、「旅愁」のイメージに合う背景として選びました。動画を撮影しておけば良かったと思いましたけどね。

 

発表会に向けての選曲

選曲のきっかけは師事する先生の勘違いでした。

2017年の演奏会が終わり、次の選曲を考えていました。YouTubeやイケガクなどで独奏曲を物色していました。その中で、中野二郎作品の「主題と変奏曲」という曲を見つけました。10分近い曲でしたが、メロディの美しさに惹かれてしまい、この曲を選ぼうと決めました。

ところが、先生に相談すると「聞いたことがない曲名だな。中野作品なら全て楽譜があるが、その曲名はないな」と言われ、曲名が違うのかな? と思いました。主題と変奏曲はサブネームじゃないかと思ったわけです。

先生に再度相談すると、旅愁かな? と言われ楽譜をいただきました。ちょっとメロディを弾いてみると、違いましたが、この曲も良いなと思いました。

選曲へ向けて時間がなかったこと、この曲も良いと思いましたので、「旅愁による変奏曲」を選曲しました。ちなみにこの後に、「美しき我が子や何処に 主題と変奏曲」という曲名だとわかりました。

 

旅愁による変奏曲」の練習

練習はレッスンに通い、指摘事項を忠実に改善することと覚えてしまうことに重点をあてました。

指摘事項を改善するとは、正しい解釈で弾くこと、表現力を付けて演奏することです。10分近い曲なので、メロディが良いだけでは聴く側は飽きてしまいます。飽きさせないように聴かせることが重要だと考えたわけです。

マンドリン独奏曲らしくデュオ奏法が多いです。楽譜にいろいろと書き込んでいますが、全て先生からの指摘事項です。楽譜に書いて、持ち帰った後に改善し次のレッスンに臨むの繰り返しでした。書きすぎて何がなんだかわからなくなったり、同じ指摘事項を受けたこともありました。

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覚えてしまうことは時間がかかりました。本番は楽譜を準備しましたが、楽譜をみることなく弾くことができました。

楽譜が6ページあるので、どうやって効率的に覚えるのか考えましたが、最後は量でカバーしました。ひたすら弾くことです。気をつけたのは間違ったことを覚えないことでした。身に付けてしまうと修正が大変ですからね。このため、練習として最初にやったことは指摘事項の改善でした。

 

本番前から本番、本番後まで

本番前

2017年の演奏会でステージ上で緊張によりトレモロができなくなる大失敗をしたので、本番前は重たい気持ちでした。

場所は、広島県廿日市市の「さくらぴあ」です。小ホールですが200人以上収容が可能なホールです。2018年までは「さくらぴあ」で演奏していました。音抜けもよく立派なホールでした。

重たい気持ちを吹き飛ばすため、直前まで繰り返し弾きました。本番前は軽く調整した方が良いですが、トラウマがあるので、ひたすら弾きました。練習疲れがありましたが、その方が良いと思っていました。

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そして本番での演奏

事前に考えた緊張対策をとってステージに臨みました。毎年、さくらぴあだったのでイメージはできていました。

演奏中は、無意識なので、覚えてしまいませんが、ところどころトレモロが詰まった記憶はあります。しかし、演奏後の満足感、緊張なく弾き通したことに満足感がありました。引き上げの際のおじぎをした際に、以前、オーケストラに所属していたときに世話になった方に気がつき、汗がでました。事前に見ていたら・・・たぶん弾けなかった。

 

演奏後

演奏後に嬉しいことがありました。

旅愁を選曲したことについてです。他の奏者やお客さんから知らない曲ばかりだったけど、知っている曲なのでうれしかったと言われました。こういう効果を狙っていたわけではないですが、予想外の反応がありました。このことは2019年の演奏会に向けてヒントになりました。

 

旅愁による変奏曲」とはどんな曲

原曲について

旅愁による変奏曲」は、編曲作品でありマンドリンのために書かれた曲ではありません。原曲は「旅愁」という唱歌です。

小学校や中学校の音楽の教科書に掲載されていたらしいですが、自分は知りませんでした。演奏会で喜んでいたのは、自分よりも年齢が上の方々でしたので、教科書に載っていたのは昭和40年以前かなと推測します。

作曲者(編曲者)について

 編曲者という言い方が正しいと思いますが、中野二郎さんがマンドリン独奏に書いたものです。「中野二郎」と言えば、マンドリン界では知らない奏者はいないと言われるかたです。多くの独奏曲、オーケストラ曲を書いています。

中野作品の特徴に「どうやって弾くの?」と思うフレーズが出てくることです。独奏曲によく見られます。「旅愁による変奏曲」にもあったと思います。ただし、中野作品は全て中野二郎自身が弾いていると言われています。誰も見ていないので、伝承のように言われています。

既に故人ですので、確かめようもないことです。

 

最後に

この演奏会以降、多くの中野作品を弾くことになりました。自分にとっては、ターニングポイントになった演奏会でもありました。

落ち着いたら、スタジオで弾いて録音したい曲です。やりがいのある良い曲に出会えたことに感謝しています。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。