第12回 マンドリンレッスン ピッキングから徐々にトレモロにする練習
第12回は、ピッキングから徐々に徐々にトレモロにしていく右手の練習方法です。この練習方法は、マンドリンを教わったときに最初に練習しました。今でもこの練習をすることがあります。
この練習の目的はトレモロじゃなかったりします。その辺も詳しく説明したいと思います。よろしくお願いします。
ピッキングからトレモロへの練習動画
このように練習します。自分で撮影した動画です。2分弱の動画ですので、説明前に参考に視聴してください。
ピッキングから始めて徐々にピッキングを速めていき、何時のまにかトレモロを弾いていたという練習です。
マンドリンを習うと最初に行うことが多い練習です。いきなりトレモロはできないのでピッキングから練習して、徐々にトレモロに移行するわけです。レッスン以外でも社会人団体や学生の団体でも取り入られています。
この練習をせずに、いきなりトレモロを練習し出来るようになってから、この練習をしても出来ません。自分もそうでした。こんなの簡単だろうと思っていたら全くできませんでした。
練習の目的と必要性
この練習の目的は、ピッキングとトレモロの中間をマスターすることです。中間とは、楽譜に出てくる速いテンポの16部音符や32部音符のフレーズです。16部音符や32部音符のフレーズはピッキングですが、テンポが速いとトレモロと差がないように聴こえます。トレモロの回転数が遅い奏者だとトレモロとピッキングに差がなく同じように聴こえてしまいます。メリハリがつかないため、表現力がなくなることになります。このため、ピッキングからトレモロをスムーズに移行する練習が必要になります。
この中間が弾けるようになると難易度の高い独奏曲やマンドリンオーケストラの楽譜を弾けるようになります。ピッキングとトレモロの弾きわけが明確になり楽譜の要求事項を満足することになるためです。
マンドリンを始めたばかりの奏者だけじゃなく、ある程度経験している奏者もぜひ練習してほしいです。
練習方法
ピッキングでダウンアップの繰り返し
ピッキングから練習します。ダウンアップをゆっくりと繰り返します。
ダウンアップの際は、ダウンとアップもピックが弦に均等に当たっていることを確認します。ピッキングの音を確認すれば良いです。ダウンもアップも音が同じと感じれば均等になっています。あまり神経質になる必要はないです。
徐々にトレモロに移行
ダウンアップに慣れたら、徐々にトレモロに移行します。
ダウンアップを徐々に速めていきます。ダウンの音とアップの音の間隔も徐々に詰まっていきます。音の詰まり具合が唐突になくなるとトレモロになっていますので、やり直します。この段階が時間がかかるところです。いきなり出来ることはありませんので、時間をかけて練習します。
トレモロに移行
徐々にピッキングからトレモロへ移行できるようになったら自然にトレモロが出来るようになるか確認します。
最初にやったダウンアップを繰り返し、トレモロに移行できるか確認します。ゆっくりとしたダウンアップからトレモロに移行できれば完了です。マスターしたことになります。出来るようになると16部音符や32部音符のフレーズも弾けるようになります。ただし、左手の運指がついていかないかもしれませんが・・・
定期的な練習
この練習は定期的に行うことをお勧めします。
右手は、癖がつくとなかなか治らないためです。曲だけを弾いていたら、何時の間にか変なフォームになっていたということもあります。そうならないためにも練習開始後に1〜2分程度行い右手が正しいフォームか確認することが良いです。
楽譜を弾いた後に、この練習をすることもお勧めです。変な癖がつく前に修正ができるためです。実際に楽譜練習後にこの練習をする奏者もいます。
応用技・・・練習の必要性はあまりありませんが
この練習の応用技に複数の弦(例:2弦と3弦の組み合わせ)やコードでピッキングからトレモロへ移行する練習があります。
興味があればやれば良いと思いますが、そこまでしなくても良いとは思います。アルペジオやデュオ奏法を練習することが実用的かなと思うためです。複数の弦やコードのトレモロがある楽譜もありますので、弾く前にトレモロを確認する意味で練習することくらいで良いと思います。
留意事項
- ピッキングからトレモロへの移行だけを目的にするなら音量に気をるける必要はありません。弾きやすい音量で練習すれば良いです。
- 複数の目的(音量のコントロール等)も兼ねて練習すると、完成が遅れリスクがあることを考えましょう。効率的に一つの練習で複数の目的を達成する考えはありですが、時間がかかることは覚悟しましょう。
- 誰かに聴いてもらうか、録音してピッキングからトレモロへスムーズに移行しているか確認しましょう。
- ある程度トレモロが出来るとトレモロの回転数が保たれることを意識しましょう。左手の運指が絡むと意識が左手に集中し、トレモロの回転数が落ちて高速のピッキングと変わらないことがよくあるためです。
最後に(まとめ)
以上をまとめると以下のとおりです。
- 練習目的は、トレモロよりもむしろ16部音符や32部音符などのピッキングとトレモロの中間がスムーズに出来るようになること。
- ゆっくりしたダウンアップを繰り返し、徐々にトレモロに移行する。唐突に移行するような感じならやり直す。
- 練習開始時などで定期的に練習する。ルーティンに入れることも良いです。楽譜練習後に練習することも有効である。
- 誰かに聴いてもらうか録音などでスムーズにピッキングからトレモロに移行できているか確認する。
先生に師事した最初に練習したのが、この練習でした。それほど重要な練習なためです。この練習をしたため、フォームの改善もできました。時間はかかりましたが、今でも効果を実感できる練習だと感じました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。